ネタゼロの碧落

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トルトとフレア 1

五つの剣



「――っ!」

フレアはさけんだ。

その声も、炎が生む烈風に吹き散らされてしまった。

生まれ育ったスターリナ庄(のさと)は、いまや紅蓮の舌にまかれている。

ごうごうと立ちのぼる火柱のために、空も灼けてしまいそうだった。

庄の北側にある小さな丘――カヒの丘で、フレアは男と対峙している。

降りかかる火の粉の奥で、男の目は、どこまでも冷たく、冴えていた。

男の足もとには、死体が四つころがっている。フレアの姉たちだった。

すぐ上の姉プラは、フレアの目の前でいままさに殺されたのだ。

胸から下腹まで切り裂かれて。

姉たちの身体から流れでた血が、大地をドス黒く色づけていた。

男の腕のなかには、末の妹のテラがからめとられている。

生気をなくした唇が、かすかにふるえていた。意識こそ失っているが、

まだ生きているようだ。

男が高々と剣をふりかざした。

――テラまでも殺すつもりか!

フレアは走った。

裂帛の気合いとともに男に斬りかかる。

女ながらにスターリナ庄(のさと)はじまって以来の天稟。剣聖アルマーの再来。

そう謳われた剣の技量(うで)だ。それに恥ぬ修業もしてきた。

兵士百人がかりでも仕留められなかった獰悪な人虎(ワータイガー)を、一颯の刃風

のもとに葬ったこともある。

しかし、男は構えすらとらなかった。

かっと頭のなかが熱くなる。

――なめるなっ!

必殺の一撃が相手の身体に届こうとした瞬間――固い壁にはじき返された。吹き飛ば

されて地面にたたきつけられる。

〈フィジカルシールド(物理障壁)〉

なぜこんな高位の魔法を……。

息がつまった。全身がバラバラになりそうだ。

身を起こすと、背骨がきしみをあげた。口のなかに血の味が広がっている。

男は冷笑っていた。

笑いながら、妹の胸に剣を突き刺す。一気に斬りさげた。妹の首がガクリと折れる。

フレアは絶叫をあげた。

ふたたび斬りかかろうと立ち上がる。ひざに力が入らなかった。足がもつれる。

前のめりに倒れた。額をしたたかに打つ。割れた傷口から血があふれ出て、視界をふ

さいだ。

信じられない光景だった。

姉や妹の死体が、胸のあたりを糸で引き上げられたかのように、浮き上がりはじめた

のだ。幻覚などではなかった。

死体の腹から何かがせり出してくる。少しずつ、少しずつ。男はそれをつかんでひき

ずり出すと、次々と地面に突き立てた。


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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/09/09(水) 14:12:36|
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